日立電鉄交通サービス 水戸22あ1416/日産ディーゼルU-UA440LSN+富士重工業(7E)
1991年に投入された大型車の1412~1417の6両は
自社発注車としては、大型車の投入は1986年以来で
その後、大型車の投入は2012年式の1320まで空きます。
配置は1412が高萩営業所、1413が神峰営業所、そして
残る1413~1417が日立南営業所とされていました。
日立電鉄は、かつての親会社である日立製作所をはじめ
沿線の工場等への人員輸送を担っていたこともあって、
収容力を重視した大型車を継続的に投入していました。
1984年式の日産ディーゼルP-U32Lの722~727の6両、
1986年式の日野P-HT235BAの941・943・983の3両、
および、日産ディーゼルP-U32Lの981・982の2両や、
いすゞP-LV314Lの984、1両などがそれにあたりますが
これらは非冷房であったことが祟り短命であったようで
同時代の車としては残念ながら記録が少ないようです。
仕様は941・943・983、981・982及び984を踏襲して
扉配置が中四枚折戸となっていることが特筆されます。
現代一般的なワンマンバスにおける中四枚折戸仕様は
西日本鉄道を皮切りとして九州地方から普及していき、
関東地方においては1984年開業のグリーンシャトル等、
都市新バスシステムに対応した専用車投入を契機として
南関東地方の前乗り均一制のエリアで普及しましたが、
日立電鉄はこのような南関東地方での普及よりも早い
1980年代前半から中四枚折戸を採用していました。
その他、外観では灰色地に紺色・薄紫色・桃色を配す
旧塗装がなんといっても目を惹くところである他にも
バス協テールが配されたシンプルな後面も魅力的です。
屋根上にはデンソー製クーラーのエバポレーターの他
丸型の通風機が前後に一基ずつ配されています。
内装は座席配置が肘掛つきの横向き座席を両側に配す
三方シートであることがなんといっても目を惹きます。
タイヤハウス部分の座席は座面が薄くなっています。
内張りは上半分白褐色・下半分薄茶色とされています。
床材は通路部が滑り止めの突起付き、それ以外は平滑な
濃緑色の床材張りで木床が一般的な当地では出色です。
座席表皮は茶色地に縞模様が入るものとなっています。
ストラップが二本ある吊り革も当地では珍しいですね。
日立電鉄はまた、かつての親会社、日立製作所の影響で
ワンマン機器の独自性が非常に強いことも特筆されます。
日立神奈川マニュファクチャリングソリューションとの
共同開発により2007年10月から採用されたIC整理券は
その最たるところで、独自の整理券発行機を搭載する他、
運賃箱は小田原機器製RX-NZながら独自のICカードR/W、
IC整理券R/W、残額モニタ、操作用ディスプレイなどを
磁気カードR/Wを撤去せずに後付けして対応しています。
放送装置は、分野限定合成の音声合成放送装置ではなく、
最近徐々に採用が増えている単位選択合成のものですが、
他社では採用事例がないと思われるアルファデータ製です。
音源はレシップ製の音声合成放送装置でも採用例のある、
日立産業制御ソリューションズ製の美音工房のようです。
現存するのは6両中1415・1416となってしまいましたが
日立電鉄の伝統を色濃く残す車として活躍しています。