9158TC/三菱KC-MP717PT+三菱自動車バス製造(NewAeroStar)
際立って長い車体に、前扉横に取り付けられた方向幕、
新しげな外観の割に木張りの床の車内、少ない座席、
と、いかにも怪しげな雰囲気の漂うこの車は、
国交省から販売許可のための型式認定審査に向けて、
メーカーが用意したプロトタイプ車、
いわゆる「サンプルカー」として製造された車です。
目的を果たした後は、新古車として茨城観光自動車に売却されましたが、
2001年の茨観廃業に伴い、
茨観の路線を引き継いだ関鉄に移籍してきました。
内装は前述のとおり貧相で、
素人目には経年車にも見える同車ですが、
ターボチャーヂャー付きのエンジンを積み、
エアサスペンションを備える出色の一台でもあります。
本来、この様なサンプルカーは出物が少ないのですが、
どういう訳か当型式のサンプルカーは出物が多い様で、
他に宮城交通(KC-MP717PT、中引で中扉後方の窓割りが異なる)、
長電バス(KC-MP717PT、中引で方向幕位置が中扉後方)、
じょうてつ(KC-MP717P、後引でトルコンAT)等にいる様です。
こうした流転の経歴と豪華な足回りを持つ当車ですが、
他の車と混用されているところは実に関鉄らしくもあります。
しかし、かなりの長尺ゆえに交差点での取回しには
流石に随分苦労している様です。
個人的には輸送力の必要な筑波大学循環辺りで限定運用するか、
豪華な足回りを活かし、二人掛け座席に改装して筑波山シャトル用としても、
いいかなぁと思います。
とはいえこんなイロモノの車がランダムにやってくることこそ、
関鉄の魅力の一つでもあるのですが。
関鉄入り後しばらくはリアの方向幕は取り付けられておらず、
枠だけが取り付けられているという状態でした。
しかし、2009年に入って、漸くリアにも方向幕が入れられ、
また同時に、京成中古車の廃車発生品を活用し、
側面窓中桟中央部にメモリーブザーが増設されています。
更に京成中古車の廃車発生品の左折アラームも付きました。
【諸元】
登録番号:土浦22あ1952
年式:1997
型式:KC-MP717PT
機関:6D24T1(11945cccc 300ps/2200rpm)
ホイールベース:6.0m
毎日バスを利用しているつくば市内の者です。
9158TCに乗りたくてたまらなかったのですが、先日やっと乗車できました。全面広告をはがした跡が若干痛々しいですね。1990年代で木床なのは関鉄の独自仕様で、サンプルカーのこれは普通の床材だと思い込んでいましたが、木床で驚きました。他社に売却されたこの型式のサンプルカーも木床なのでしょうか。
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>>9178様
コメントありがとうございます。
この車はかなり長期間にわたってラッピングされていたので、
塗装が痛んでしまったのでしょうね。
ただ、年式的にまもなく車体更生がなされる筈ですので
その際、再塗装されることと思います。
都市部では珍しい木床ですが、
近隣だと小湊や茨交はこの辺りの年式でも木床です。
まあツーステップ車の場合、ビニール張りの床でも、
ビニールの下は大抵木床である様で、
京王などは長らく通路部のみビニール張りで、
座席の下は木床が覗いているという仕様でした。
この車もサンプルカーということで、
コストを極限まで抑えるべく、
ビニールを張らなかったものと思われます。
他社のサンプルカーは申し訳ないですが、ちょっと分かりません…
こんにちは。
この車両が茨城観光で活躍している頃に、佐貫駅で停車している姿を見た際(乗車はしていないのですが…)は、古い車がゴロゴロしている中で何か変な窓割の新車が…と感じたものでしたが、その時に車内を見たら床が板張りなのは驚いたものでした。
その後も乗車機会はないものの、関東鉄道移籍後の姿も目撃しており、非常に奇抜に感じる1台ですが、板張り床のNEW AEROSTAR自体がなかなか乗る機会がない(記憶にある限りでは網走バス程度)だけに、機会があれば是非乗車したいものです。
>>MAKIKYU様
コメントありがとうございます。
私も、茨観時代にこの車を見た時は、随分「浮いた」印象を受けました。
車内は板張りとは言えども、シンプルな内装であるがゆえに、
個人的には、寧ろ新鮮で、かつ落ち着いた印象を受けます。
車内段差が目立つ現行のノンステップバス等の内装よりも、
新しさを感じる内装と言っても良く、
板張り=古臭いという固定観念を打破してくれる存在である様な気がします。