関東自動車」カテゴリーアーカイブ

関東自動車 宇都宮200か653


関東自動車 宇都宮200か653/いすゞU-LV324N+アイケイコーチ(Cubic)

京浜急行電鉄中古車で京急時代の社番はM1315です。
京急では1983年よりスーパーワイドドアと呼ばれる、
両引戸の中扉をもつ車を、主に大森営業所へ投入し
非常に特徴的な仕様として、注目を浴びていました。

四枚折戸より開口幅が大きくステップも大きくとれ、
工業地帯でのラッシュ時の輸送に貢献していました。
しかし、1996年から一般的な四枚折戸へと移行して
スーパーワイドドアの採用は途絶えてしまいました。
またスーパーワイドドア仕様の車の場合は基本的に
ホイールベースが5.5mクラスの長尺を選択しており
輸送力が確保されていたのも特徴となっていました。

ただこのような地方部では、比較的使い勝手が悪い
特殊な仕様が災いしてか中古車として放出されても
国内で路線車として活躍する例は、限られています。
ただ関東自動車では前乗り前降り運賃後払いのため
中扉を使う機会が非常に少ないことが幸いしたのか
2005年に本型式のスーパーワイドドア仕様の車が、
1992年式2両と1993年式6両の計8両投入されました。

外観では個々の幅も独特な中扉と戸袋窓が目立つ他
一般低床仕様ながら標準床と同じ車体としたために、
ホイールアーチ上部の形状が真円状なのも特徴です。
屋根上の通風機や後面のテールランプの配置などは
当時の京急としては、標準的な仕様となっています。

車内も同様に上半分白色・下半分灰色の内張りの他
灰茶色石目調の平滑な床材が張られている床なども
前半が横向き座席主体、後半が前向き2人掛け主体の
立席スペースと座席数の確保を両立した座席配置も
当時の京急の標準的な仕様で事業者の色を感じます。

こうした事業者毎の独自色がまだ強かった頃の車が
まだまだ活躍を見せる関東自動車ではありますが
裏を返せば、みちのりホールディングス傘下の今も
経年車を多く抱えざるをえないことの証左でもあり
それゆえに稼働車両の確保には苦労している様子が
運用や整備の状況などからも察することができます。
大都市部でも車の使用年数を伸ばす事業者が増えて、
中古車での代替も一筋縄ではいかないのでしょうね。

関東自動車 宇都宮200か・693


関東自動車 宇都宮200か・693/いすゞU-LV224K+西日本車体工業(B-Ⅰ型58MC)

大阪市交通局中古車で、大阪市時代の局番はおそらく
23-6786かと推測していますが確定的証拠はありません。
1993年に守口営業所へ投入された、いすゞ大型車である
23-6783~23-6790のうちの1両であることは明らかで、
この8両のうち7両が2005年に関東自動車へ移籍しており
この693も、2005年に駒生営業所へ投入されています。

大阪市では入札方法の変更以前、いすゞ車については
守口、鶴町、古市、木津の各営業所へと配置されており、
うち西工製車体の車は主に守口営業所へ配置されました。
型式通り足にはエアサスペンションが奢られていますが、
これは大阪市では、1991年式より採用されたものです。

外観では大阪市においては1990年式より採用されている
黒サッシで下段がヒドゥンピラーの逆T字窓の側面窓が
強く目を惹くところで、当地にあっては豪華に見えます。
細部では、運転席脇の側面窓の下部に固定窓があるのも
大阪市の西工製車体の車ではよく見ることができました。

後輪に設置されていたフェンダーカバーをはじめとして、
前面行先表示機脇に設置されたゾーンバス標識のステー、
国旗掲出用のステー、バスロケ用のアンテナは撤去され、
行先表示機も、移籍時にLED行先表示器へと換装されて、
大阪市独特の通常よりも少々幅が狭い前面行先表示機も
一般的なサイズとされている等、改造箇所は多くあります。

ただし側面行先表示機は大阪市交通局時代から変わらず、
側面窓下部にあり、当地では珍しい仕様となっています。
テールランプは大阪市では1992年より角型が採用され、
この車も、角型のレシップ製SFL-9000となっています。
丸型バックランプが補助ブレーキランプの上にあるのは
細かいながらも、この時期の大阪市らしいところですね。

クーラーはこの時期のいすゞ車では関鉄や京成も含めて
他事業者でも多く採用された、ゼクセルの室内集中型で、
屋根上には後に普及するビルトインクーラーと同じように
旧来あったエバポレーターの張り出しがないのが特徴です。
もっともエバポレーターを天井のダクトに納めようとした
ビルトインクーラーとは異なり、前方の天井の左右両側に
エバポレーターを収めた大きな張り出しが存在しています。
大阪市においては同時期のIKコーチ製車体の車についても
やはり同じくゼクセルの室内集中式が採用されていますが、
コンデンサが左側後輪前に設置されたことは相違点です。

守口営業所が担当していた33号系統(後の83号系統)が
森小路駅の制限高2.7mのアンダーバスを経由する関係で
同営業所の車については、車高を下げていたようですが、
このクーラーも車高の低下に貢献していたことでしょう。

車内は上半分が象牙色、下半分が黄土色木目調とされて
床は薄茶色石目調の床材張りと高級感漂う仕上がりです。
座席配置は大阪市標準の左側が肘掛がつく横向き座席、
右側が前向き1人掛けのハイバックシート主体のもので、
降車釦はトラ猫のイラスト入りのオージ製WS-210の他
肘掛部分や座席背面はオージ製WS-220となっています。

関東地方では稀有な58MCであり注目を浴びていますが
今後も一日でも長く活躍することを願うばかりです。

関東自動車 宇都宮200か・・94


関東自動車 宇都宮200か・・94/いすゞP-LV314K+富士重工業(5E)

蒲鉾形の通風器が印象的な、川崎市交中古車です。
同じ川崎の川崎鶴見臨港バスでも見られる、
ショートフロントオーバーハング仕様が目立ちます。
関東自動車の5Eでは最後まで残ったグループですが、
この車は遼車より一足先に鬼籍入りしています。
まあ、写真がアレなのはご了承ください。

外見こそ古色蒼然としていますが、
車内は床材張りの床にに液晶モニタ付の運賃箱と、
近代的な雰囲気となっており、同じ北関東に残る5Eでも、
車内もいかにもな感じの茨交の西武中古とは一線を画します。
状態も内外ともに非常に良好で、廃車となったのが惜しまれます。

関東自動車では1993年からバスカードを導入しており、
北関東の事業者としては日立電鉄と共に、
極めて早いバスカード導入でした。
そういえば、日立電鉄にも同型車がいましたね。

関東自動車では他にも低床化への積極的な取り組みなど、
2004年の経営破綻以前から先進的な施策を取っていました。
2006年に産業再生機構による経営再建が終了した後も、
スロープ付きワンステップ車の中古車を積極導入するなど、
その先進性は相変わらずです。
前乗り前降りなのも相変わらずですが。

しかし、5Eにこの塗装は眩しい程に似合いますね。