関東鉄道 2249MR


関東鉄道 2249MR/BYD 型式不明(K8)

2023年式の自社発注車のうち、2248MR・2249MRは、
2237MRに続く比亜迪汽車製の電気バスとなりました。
車種は、全長10.5mの大型車であるK8が選択されて、
2237MRとは異なり一般路線車として投入されました。

K8は比亜迪が2011年より販売する世界向けモデルで
日本においても2021年以降各地で投入されています。
先行して販売されていたK9より全長が1.5m短縮され
バッテリー容量は324kWhから287kWhと減りましたが
軽量化が図られたことで後軸の軸重が10t未満となり
K9では必要だった特殊車両通行許可が不要になって
国交省標準仕様ノンステップバス認定も受けており、
本邦でも扱いやすい仕様になっているのが特徴です。

バッテリーは屋根上に積載され、車高は3.36mです。
最高速度は70km/h、最長航続距離は220kmとされて
CHAdeMO規格を採用、充電時間6時間とされました。
駆動方式はインホイールモーターで、左右後輪用に
各々定格75kwの永久磁石同期電動機モーターを搭載、
モーターはIGBTインバーターによって制御されます。
トランスミッションはもちろん搭載されていませんが、
D・N・Rのみの、ボタン式のセレクターがあります。
また災害時に電源供給車としても運用できる仕様で
一部座席にバス車載用USB充電器も設置されました。

車体にはアルミニウム合金が多用されてていますが、
同クラスの国産ディーゼル車が13~14tなのに比して
重量は16.35tに達して、更なる軽量化が課題です。
K8は、2023年末にマイナーチェンジを予定しており、
ブレードバッテリー化により314kWhへ容量増を図り
後輪タイヤハウス間の床まで平坦化される予定です。

塗装はデザイナーの蓮見孝・岸本健の両氏が手がけ
従来の塗装をベースに「だれにでも受け入れられる、
人と社会にやさしいバス」をテーマとしたとされて
前面と後面に差を持たせ進行方向を分かりやすくし
中扉周辺を黄色にし入口が目立つ工夫がされました。
前面腰板・側面腰板・後面腰板にEVのロゴが入る他
側面幕板部に「ELECTRIC BUS」のロゴが入っており
電気自動車であることが分かりやすいデザインです。

行先表示機はレシップ製で、一部がフルカラーLEDの、
DFE-C11CW・DFE-C22CW・DFE-C33CWが採用されて
うち、側面行先表示機は中扉後方に設置されました。
非常口が左側面最後部に設置されたことも特徴です。

車内は内張が明灰色、床が濃灰色の平滑な床材張り、
座席配置はメーカーが設定している都市型Ⅰとされ、
左側前半が前向き1人掛3列、後半が前向き2人掛4列
右側が前向き1人掛6列と、前向き2人掛4列とされて、
そのうち3~6列目は、車椅子固定用の跳上座席です。
座席は基本的に中国製と思しき樹脂製のものですが
跳ね上げ座席のみは日本(天龍工業)製のものです。
座席表皮は優先席も一般席もカタログと同じもので
優先席は紺系の柄物、一般席が青系の柄物とされて
降車釦はオージ製WS-280とされ、握り棒は橙色です。

航続距離が長く夜に充電することで終日運用可能で
守谷営業所管内の各路線で運用されるだけではなく、
筑波山シャトルなどでも運用されることもあります。
関鉄では今後も電気自動車の投入を継続する予定で、
今後も同型車が投入されるのか気になるところです。

【諸元】
登録番号:つくば200か1138
年式:2023
型式:型式不明
モーター:定格75kw、最大100kw
ホイールベース:5.5m

関東鉄道 9536MT


関東鉄道 9536MT/いすゞKL-LV280L1+J-BUS(ERGA)

国際興業中古車で、国際興業時代の社番は5039です。
5039は年から2003年から2005年にかけ投入された、
エルガノンステップType-A短尺車、5000番台の車で
メーカー設定のVP(Valuble Package)仕様を採用、
仕様標準化によってコストダウンが図られています。

2005年に、5040と共に西浦和営業所へと投入されて
投入以来、長らく同地にて活躍を続けてきましたが
2018年に、5040と共に飯能営業所へと転入しました。
2022年に廃車後、またも5040と共に関鉄へと移籍し、
翌2023年に、9536MTとして水戸営業所へ投入されて
車齢18年目にして、新天地での活躍をはじめました。

関鉄としては、G5069以来の国際興業中古車ですが、
新型コロナウィルス感染症による需要減少に加えて、
東京オリンピックの輸送計画に変更が生じたことで
京成では車両代替のペースが鈍化していることから、
京成系列外からの中古車投入に至ったのでしょう。

この車は、関鉄の創立100周年記念事業の一環として
移籍にあたって鹿島参宮鉄道時代の塗装を復元した
リバイバルカラーとなったことが大きな特徴であり、
側面の社紋や、側面・後面に入れられた社名表示も、
鹿島参宮鉄道のものとなっておりかなり目立ちます。

この車の他に、元5040の9537MR、元5106の9542TCが
「復刻デザインバス」としてリバイバルカラーを纏い
2023年4月に「関東鉄道創立100周年記念ツアー企画
9158号車で行く乗車・撮影会」にて、お披露目されて
それぞれ活躍をはじめており、注目を集めています。

外観では上述の塗装や社紋、社名表示は勿論ですが
前面行先表示機脇や後面窓、側面窓へと貼付された
創立100周年記念ロゴマークも、目立つところです。
後面窓には「関東鉄道創立100周年記念復刻塗装」の
文字も入れられマニア以外からも注目されています。

車内は内張りが上半分象牙色、下半分灰色とされて
床も濃灰色の平滑な床材張りのままとなっています。
座席配置は左側前半前向き1人掛1列・横向き1+2人掛、
中扉を挟み、後半は前向き2人掛4列とされています。
また右側は前向き1人掛5列と前向き2人掛4列とされ
このうち2~5列目は、車椅子固定用の折畳座席です。

また座席表皮は全席青一色のものへと交換されており
国鉄バスを思わせる、懐かしい雰囲気となりました。
握り棒は新製当初、乗降口付近が黄色の緩衝材巻き、
それ以外の箇所は黒色の緩衝材巻きとされましたが、
国際時代に橙色の緩衝材巻きへ交換されています。
降車釦がレシップKSP-400となっているのも注目で、
車内灯は移籍時に電球色のものへと交換されました。

ファン向けイベントにも力を入れている関鉄だけに
「復刻デザインバス」の今後の展開が期待されます。

【諸元】
登録番号:水戸200か2299
年式:2005
型式:KL-LV280L1
機関:8PE1-N(9880cc 240ps/2100rpm)
ホイールベース:4.8m

関東鉄道 9534TK


関東鉄道 9534TK/三菱PA-ME17DF+三菱ふそうバス製造(Aero Midi ME)

阪東自動車中古車で、阪東時代の社番は287です。
2006年式287・288・289は青山入口南~青山西間に
狭隘区間を持つ青山台循環の開業に併せて投入され、
同年式で我孫子市市民バス「あびバス」の専用車の
280・281・282・283と異なり路線車と同じ塗装で、
また補助ブレーキランプが省略されたのが差異です。
青山台循環の他、鳥の博物館線、布佐新木線などの
利用者が多くない路線で主に運用されていましたが
青山台循環のうち青山入口南~青山西間を通過する
青山西屋敷経由の便が2015年に廃止となったため、
青山台循環は中型車での運用も可能になりました。
うち287は2022年に廃車となった後、関鉄へと移籍、
2023年に9534TKとしてつくば北営業所へ配置され、
一般路線車として新天地での活躍をはじめました。
関鉄としては初の阪東中古車であり注目されます。

外観では前面腰板の「ノンステップバス」のロゴが
1917P・1825YT・1826TCと異なる現行のものとされ
つくば市コミュニティバス「つくバス」専用車から
転用された車とは、車外スピーカーの位置が異なり
1917P・1825YT・1826TCと同様の位置とされた他、
後面行先表示機の取付枠が行先表示機の周囲も含め
象牙色となっていることが細かいながら目立ちます。
阪東時代から、取付枠は象牙色となっていましたが
行先表示機の周囲は、ブラックアウト仕上げでした。
しかし移籍に際し後面行先表示機が拡大されたため
このような仕上がりになったものだと考えられます。

車内は、内張りが上半分象牙色・下半分灰色とされ、
また、床は濃灰色で平滑な床材張りとされています。
座席配置は左側の前半が横向き2人掛、中扉を挟み、
左側の後半は、前向き1人掛が2列となっています。
右側は、前向き1人掛が3列と前向き2人掛2列とされ、
そのうち2・3列目は、車椅子固定用の折畳座席です。
また最後部の座席の中央部は大型の肘掛が置かれて
混雑時でも降車が容易となるよう工夫されています。

投入後は主につくバスの予備車として運用されて、
小田シャトルなどでその姿を見ることができます。
少しずつ淘汰が進んでいるエアロミディMEですが
珍しい車ですので末永い活躍を期待したいですね。

【諸元】
登録番号:つくば200か1131
型式:PA-ME17DF
年式:2006
機関:4M50T5(4899cc 180ps/2700rpm)
ホイールベース:3.56m