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日立電鉄交通サービス 水戸200か・385


日立電鉄交通サービス 水戸200か・385/いすゞKC-LR333J+いすゞバス製造(Journey K)

神奈川県内の企業の自家用の中古車で、1997年式です。
2002年に移籍して日立南営業所へと投入されています。
各地から中古車を揃える電鉄らしい掘り出し物ですが
この車は同じ日立製作所傘下の企業からの移籍であり
こういうところも企業城下町の事業者らしいですね。

淡路交通中古車の神姫ゾーンバス神戸200か・905が
中引戸の扉配置、銀サッシの二段窓の側面窓、そして
中扉直後の側面行先表示機と、当車と外観が似ており、
しかも投入された時期や年式までも一致しているため
一時期当車も同じ淡路交通中古車であるという誤解が
マニアの間で流布したこともある、特徴的な車です。

尤も淡路交通においては1997年式のいすゞ中型車は
神戸22か6296、1両しか在籍していなかったことから
当車が淡路交通中古車ではないことは自明でした。

外観上の大きな特徴といえるのが側面行先表示機で、
元は二段窓であった中扉直後の側面窓の上部を塞ぎ
嵌め殺しの窓を設置して側面行先表示機を追設する、
電鉄らしい手が込んだ改造の形跡が残されています。
前バンパーのコーナリングランプは撤去されました。
移籍に際し白地に黄緑色と水色のストライプが入る
メーカーのサンプル塗装から塗り替えられましたが
細部にはかつての塗装の名残りがのこされています。

内装は電鉄らしく移籍時に徹底的に更正が行われて
移籍前の様子を想像することは困難ではありますが
少なくとも降車釦は移籍時に追設されたものらしく
側面窓下部にケーブルカバーを這わせて配線を通し
なるべく配線が露出しないよう仕上げられています。
天井のクーラーダクト底面にも設置されていますが
こちらはクーラーダクトに配線を通している様です。

座席表皮もまた移籍時に交換されているようですが、
最後部の座席にはシートベルトが埋め込まれており
移籍前は全席にシートベルトがあったと思われます。
移籍時に他の座席のものは撤去されたのか、或いは
他の座席は移籍時に交換されたということでしょう。

茨城交通との合併後も引き続き日立南営業所に所属し
引き続き電鉄塗装のまま、市内で活躍を続けています。

日立電鉄交通サービス 水戸22あ1416


日立電鉄交通サービス 水戸22あ1416/日産ディーゼルU-UA440LSN+富士重工業(7E)

1991年に投入された大型車の1412~1417の6両は
自社発注車としては、大型車の投入は1986年以来で
その後、大型車の投入は2012年式の1320まで空きます。
配置は1412が高萩営業所、1413が神峰営業所、そして
残る1413~1417が日立南営業所とされていました。
日立電鉄は、かつての親会社である日立製作所をはじめ
沿線の工場等への人員輸送を担っていたこともあって、
収容力を重視した大型車を継続的に投入していました。

1984年式の日産ディーゼルP-U32Lの722~727の6両、
1986年式の日野P-HT235BAの941・943・983の3両、
および、日産ディーゼルP-U32Lの981・982の2両や、
いすゞP-LV314Lの984、1両などがそれにあたりますが
これらは非冷房であったことが祟り短命であったようで
同時代の車としては残念ながら記録が少ないようです。

仕様は941・943・983、981・982及び984を踏襲して
扉配置が中四枚折戸となっていることが特筆されます。
現代一般的なワンマンバスにおける中四枚折戸仕様は
西日本鉄道を皮切りとして九州地方から普及していき、
関東地方においては1984年開業のグリーンシャトル等、
都市新バスシステムに対応した専用車投入を契機として
南関東地方の前乗り均一制のエリアで普及しましたが、
日立電鉄はこのような南関東地方での普及よりも早い
1980年代前半から中四枚折戸を採用していました。

その他、外観では灰色地に紺色・薄紫色・桃色を配す
旧塗装がなんといっても目を惹くところである他にも
バス協テールが配されたシンプルな後面も魅力的です。
屋根上にはデンソー製クーラーのエバポレーターの他
丸型の通風機が前後に一基ずつ配されています。

内装は座席配置が肘掛つきの横向き座席を両側に配す
三方シートであることがなんといっても目を惹きます。
タイヤハウス部分の座席は座面が薄くなっています。
内張りは上半分白褐色・下半分薄茶色とされています。
床材は通路部が滑り止めの突起付き、それ以外は平滑な
濃緑色の床材張りで木床が一般的な当地では出色です。
座席表皮は茶色地に縞模様が入るものとなっています。
ストラップが二本ある吊り革も当地では珍しいですね。

日立電鉄はまた、かつての親会社、日立製作所の影響で
ワンマン機器の独自性が非常に強いことも特筆されます。
日立神奈川マニュファクチャリングソリューションとの
共同開発により2007年10月から採用されたIC整理券は
その最たるところで、独自の整理券発行機を搭載する他、
運賃箱は小田原機器製RX-NZながら独自のICカードR/W、
IC整理券R/W、残額モニタ、操作用ディスプレイなどを
磁気カードR/Wを撤去せずに後付けして対応しています。

放送装置は、分野限定合成の音声合成放送装置ではなく、
最近徐々に採用が増えている単位選択合成のものですが、
他社では採用事例がないと思われるアルファデータ製です。
音源はレシップ製の音声合成放送装置でも採用例のある、
日立産業制御ソリューションズ製の美音工房のようです。

現存するのは6両中1415・1416となってしまいましたが
日立電鉄の伝統を色濃く残す車として活躍しています。

日立電鉄交通サービス 水戸200か1320


日立電鉄交通サービス 水戸200か1320

「ひたちBRT」専用車として日立南営業所へ投入された車です。
2012年式で日立電鉄の自社発注車としては久々の大型車です。

「ひたちBRT」は2005年に廃止の日立電鉄線の廃線跡を活用し、
渋滞の激しい日立市内の公共交通を改善するために開業した、
バス高速輸送システム(Bus Rapid Transit)の愛称です。
その第一期開業区間は日立港都市再開発用地の中心である
国道245号沿いの道の駅日立おさかなセンターを起点として、
旧日立電鉄線が接続していた大甕駅までの約3.2kmで、
うち臨海工場西〜南部図書館間が、旧日立電鉄線のうち、
久慈浜駅〜大甕駅間の一部路盤を転用して整備された
バス専用道となっているのが特徴です。

おさかなセンターはバスシェルター・トイレ・駐車場が整備され
周囲はまだ閑散としているもののバスターミナルとされた他、
南部図書館にはパーク&ライド用の駐車場も整備されました。

現在はまだ開業区間が短く、利用者も限られていますが、
いずれは鮎川駅方面に専用道が整備される予定で、
全線開業が叶えば都市交通として本領を発揮するでしょう。

さて、この「ひたちBRT」専用車として用意されたこの車は、
デザインを公募により決定した「ブルーラピッド」と呼ばれる、
専用の外装を纏っているのが大きな特徴となっています。
一方、開業時に用意されたもう1両の専用車である1318は、
「サクララピッド」と呼ばれる、専用の外装となっています。
また追って2014年に投入された専用車である1409も、
同じく「サクララピッド」外装となっています。

また県内ではJRバス関東土浦支店に続いての登場となる、
ハイブリッド車となっているのも大きな特徴となっており、
とりわけ自社発注車として投入されたハイブリッド車は、
この車が県内初のケースということになります。
車種はブルーリボンシティハイブリッドの短尺車です。

車内は基本的にメーカー設定の標準仕様に準じたもので、
内張りは明灰色、床は濃灰色の床材張りとなっています。
座席配置もまた、メーカーが設定する一般的なものとされ、
乗降口側前半が前向き1人掛1列と横向き2+1人掛、
そして中扉を挟んで乗降口側後半が前向き2人掛4列、
また非常口側が前向き1人掛5列と2人掛4列という具合で、
このうち非常口側2〜5列目が折畳座席とされています。

座席表皮は紺色の柄物、握り棒は橙色の緩衝材巻きです。

今後、延伸に伴い増備が図られるのかも気になりますね。